フライの雑誌社新書 第一弾
『イワナをもっと増やしたい! 「幻の魚」を守り、育て、利用する新しい方法』
中村智幸著 NakamuraTomoyuki
発行:フライの雑誌社

ISBN978-4-939003-27-1
新書判(105mm×172mm) 200頁 税込1,200円

2007年12月20日発売

全目次
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開発や乱獲、温暖化に追われているイワナ。愛らしいイワナたちを「幻」にしないために私たちができることは、じつはたくさんあります。その具体案と最新事例を紹介し、イワナとヒトが長くつき合っていくための新しい方法を分かりやすく提案するサイエンス・エッセイです。

イワナをもっと増やしたい!●目次

第1章 不思議な魚、イワナ ……6
イワナとの出会い/釣り三昧の日々の中から

第2章 「幻の魚」イワナのプロフィール ……11
イワナってどんな魚? \世界のイワナたち/日本のイワナたち/イワナの地方名はたくさんある/イワナとヤマメ、アマゴの違い/日本列島のイワナ分布はくずれ始めている

第3章 イワナ研究のフィールドワーク ……22
毎日最低20匹。釣りも立派な調査方法になる/イワナの産卵床の分布を調べる/支流に遡った魚をトラップ(わな)ですべて捕る/水産研究所ではどんな研究をしているのか


第4章 イワナの姿かたちは川や支流ごとに違う …… 30
イワナの形態には謎が多い/イワナの身体の各部位を測りくらべてみた/イワナの形態は川によって違う/イワナの形態は隣り合った小支流によっても違う

第5章 謎多きイワナの暮らし(1)年齢の調べ方、成長、成熟、寿命 ……40
手取川の支流でイワナの全般的な生態を研究した/イワナの年齢を鱗で調べる/個体ごとに鱗の成長を追跡調査する/鱗の年輪の数は実際の年齢と一致しない/年齢を鱗で調べられるのは1歳まで/イワナの成長や寿命はよくわかっていない/イワナの成長は個体ごとのばらつきが大きい/若い時に急激に成長する個体が尺イワナになるのかもしれない/尺イワナが生まれるメカニズムの四つの仮説/早熟な雄は1歳の秋に、雌は2歳の秋に成熟する/イワナの寿命は長くて8年

第6章 謎多きイワナの暮らし(2)イワナはいつ、どれくらい移動するのか ……59

個体ごとの移動を追跡する/手取川の支流のイワナは季節移動しなかった/最長4キロメートル近く移動した魚もいた/水が少ない場所のイワナはよく移動する/なぜ手取川の支流のイワナはあまり移動しないのか/同じ川に定住性の高いイワナと移動性の高いイワナがいる/定住するか移動するかは個体によって違う

第7章 天然のイワナを守る ……72
それぞれの川固有のイワナを保護する/「聞き取り調査法」で天然魚の生息分布を推定する/鬼怒川支流での天然魚の聞き取り調査例/天然魚は支流の滝や堰堤上流の狭い範囲に生息している/養殖魚を放流すると天然のイワナがいなくなる/なぜ天然魚を残さなくてはいけないのか?/漁業法で定められた増殖義務が安易な放流につながった/放流だけが魚の増殖ではない。漁場管理こそが重要/保護水面に指定すれば天然魚を守れるか/今となれば、あえて魚道をつくらないほうがいい堰堤もある/天然魚が生息している水域の堰堤には、魚道を付ける/遺伝子解析によって天然魚かどうか判別できそうだ/遺伝子解析の具体的な手順とは/できるだけ多くの川で天然魚の分布を調査したほうがよい

第8章 イワナの種川を残し、守る ……99
イワナの産卵床は支流に多い/たくさんのイワナが支流に産卵のために遡上する/なぜイワナは支流で産卵するのか/これまで「種川の条件」に関する研究は行われてこなかった/イワナが産卵遡上する支流の環境条件とは/産卵床は本流の遡上阻害物の下流に流入する支流や、遡上できる距離が長い支流ほど多い/イワナの産卵保護のための河川管理方法/釣り人や漁協にも、できることがある/「産卵数の多い支流」より「繁殖に適した支流」の条件探しが大切/禁漁にすると本当にイワナは増えるのか?/禁漁河川で5年にわたり個体数を調査した/そして、イワナは、増えた

第9章 イワナが産卵床をつくる場所の条件とは何か ……121
産卵場所の細かい環境条件を調べる/イワナとヤマメでは産卵場所の条件が少し違う/ヤマメにくらべてイワナはいろいろな場所で産卵できる

第10章 イワナの人工産卵場のつくり方 ……132
魚の増殖方法は大きく三つ/なぜ人工産卵場を造成するのか?/はじめての造成実験/人工産卵場の造成はそれほどむずかしくない/造成した人工産卵場で多くのイワナが産卵した/そして、産みつけられた卵はふ化した/人工産卵場の造成技術の改良 はじめての造成から10年が経過/人工産卵場をつくるのに適した川の条件がある/人工産卵場のつくり方の実際/人工産卵場の耐久性、周囲の景観との調和/人工産卵場造成のハウ・ツービデオがある/河川管理者の許可は必要か?/造成費用はいくらかかるのか?/一か所あたりの造成費用は31500円から42000円/もっと安く造成する方法がある/人工産卵場の増殖効果と、養殖イワナとの金銭的比較/人工産卵場には天然魚や野生魚の産卵を助ける働きがある/人工産卵場の造成は子どもの環境教育にも役立つ/人工産卵場の造成はあくまで「次善の策」にすぎない

第11章 イワナを守りつつ利用する新しい方法 イワナとヒトの未来 ……174
川をゾーニングして、イワナを守りつつ、釣りを楽しむ/新しいゾーニングを提案します/川を釣りで高度利用する具体例のあれこれ/放流方法の違いによるゾーニング/群馬県の上野村漁協さんのゾーニング管理/長野県の志賀高原漁協さんのゾーニング管理/イワナを、守り、増やし、釣りに利用する方法は、たくさんある/水源の森林を保全している漁協さんもいる

おわりに ……195

著者紹介:中村智幸 1963年生。信州・伊那谷に生まれ、地元の渓流でイワナ・アマゴを追う少年時代を経て、 渓流魚の生態と利用方法を研究する生活に入る。 渓流魚の人工産卵場を造成する技術を国内で初めて開発。都道府県や漁協、釣り人からの相談や講演依頼で 全国各地を飛び回っている。東京水産大学大学院水産学研究科博士後期課程修了。水産学博士。 栃木県水産試験場を経て、現在、独立行政法人水産総合研究センター・中央水産研究所・内水面研究部・ 生態系保全研究室勤務。



フライの雑誌社新書では「自然を愛するすべてのヒトへ。」をテーマに、他では読めない幅広いジャンルの新書を、定期的に発行してまいります。こんな本が欲しい、読みたい、作りたい、というご希望があれば編集部までお気軽にお寄せ下さい